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皮膚がん

皮膚に発生する皮膚がん(皮膚悪性腫瘍)にはいろいろな種類があります。その中で最も悪性度が高いのが悪性黒色腫です。頻度では基底細胞癌が最も多く、有棘細胞癌が続きます。この3種類のがんが3大皮膚がんですが、その他にパージェット病や皮膚付属器がんなどもあります。

基底細胞がん

1.基底細胞がんとは

1)統計

我が国では最も多い皮膚がんで、人口10万人あたり年間5人以上の発症があると推定されています。その中で60代が約25%、70歳以上が45%を占めています。約80%が頭と顔に発生します。

2)組織分類

表皮の最下層にある基底細胞に似た基底細胞様細胞の増殖で、腫瘍細胞の増殖パターンから充実型、嚢腫型、腺様型、斑状強皮症型、表在型、ピンカス型などに分けられます。

3)治療

転移は稀なので、外科療法が主体です。筋肉や骨あるいは鼻腔、副鼻腔、眼窩などに著しく浸潤した場合には放射線治療や化学療法を行うこともあります。

4)原因

紫外線が原因と考えられています。他には、やけどや外傷の瘢痕、放射線による皮膚障害などがあげられます。また、色素性乾皮症という病気では、生まれつき皮膚が紫外線に弱く、基底細胞がんが発生しやすいため注意が必要です。

5)検診

皮膚がんの住民検診はありません。皮膚は体表にあるので、本人あるいは家族が、結節、潰瘍、出血など、何らかの皮膚の異常に気づいた場合は医療機関を受診することが大切です。

2.症状

初期には、黒色から黒褐色の軽い隆起で、通常は数年で徐々に大きくなり腫瘤を形成し、進行すると中心は潰瘍となり、その周辺は堤防のように盛り上がって縁どるように並びます。潰瘍の部分は出血しやすい状態となります。このような形のものはまぶた、鼻、上口唇の周りに多く発生します。しかし、薄い紅色や白色で瘢痕に似た形のものや、ピンク色で表面にかさぶたが付いたような湿疹に似た形のものもあって、一見がんには見えないような場合もあります。痛みやかゆみはありません。

3.診断

1)視触診、ダーモスコピー

医師が皮膚症状の視診、触診およびダーモスコピーによる観察を行います。

2)細胞診検査

表面に潰瘍あるいはびらんがある場合は、その部分にスライドガラスを当てて採取した細胞の検査をすることがあります。

3)病理組織検査

診断の確定には必要な検査で、局所麻酔をして皮膚病変の一部を切り取り、顕微鏡で調べる皮膚生検を行います。

4)画像検査

がんの深さや転移など、進行度を調べるために、X線、CT、超音波検査、シンチグラム、MRIなどの画像検査を行います。

4.病期(ステージ)

病期分類は有棘細胞がんの病期分類に準じることになっており、0期からⅣ期までの5つの時期に分けられます。

0期: がん細胞は出現しているが、表皮の中にとどまっているもの。
Ⅰ期: 腫瘍の大きさが2cm以下で、真皮内あるいは真皮から皮下組織の中にとどまっているもの。
Ⅱ期: 腫瘍の大きさは2cmを超えていますが、真皮内または真皮から皮下組織の中にとどまっているもの。
Ⅲ期: 腫瘍の大きさにかかわらず、腫瘍の深さが皮下組織を越えて、
さらに深い筋肉、軟骨、骨などにおよんでいるもの、
または腫瘍の大きさにかかわらず、所属リンパ節と呼ばれる首、わきの下、太もものつけ根のリンパ節に転移があるもの。
Ⅳ期: 所属リンパ節を越えて遠隔転移(内臓に転移)をしているもの。

5.治療

治療方法には、外科療法、放射線療法、化学療法がありますが、大部分で外科療法が行われます。

1)外科療法

腫瘍の周りの皮膚も含めて切除する必要があります。手術によって皮膚の欠損が大きくなった場合には、植皮術や皮弁術などで修復します。Ⅲ期ではリンパ節を廓清することもあります。

2)放射線療法

浸潤の強く、がんが深い場合には放射線治療を行います。放射線を照射した部位の皮膚は赤くなったり、水疱、びらん、潰瘍、かゆみ、色素沈着などがおこることがあります。

3)化学療法

Ⅱ期、Ⅲ期では手術の術後の補助療法として抗がん剤治療が行われます。Ⅳ期では中心的に行われます。抗がん剤の種類によって異なりますが、一般的に下痢、食欲不振、吐き気、嘔吐、発熱、全身倦怠感、脱毛、呼吸機能障害、肝障害、腎障害、白血球減少、貧血、血小板減少などの副作用があります。

6.病期別治療
0期: 腫瘍の辺縁から0.5cm離して切除します。
Ⅰ期: 腫瘍の辺縁から0.5~1cm離して切除します。
Ⅱ期: 腫瘍の辺縁から1~1.5cm離して切除します。化学療法を併用することもあります。
Ⅲ期: 腫瘍の辺縁から1~1.5cm離して切除し。所属リンパ節郭清を行います。
化学療法や放射線療法を併用することがあります。
Ⅳ期: 化学療法や放射線療法が中心とし、手術もうまく組み合わせて効果が上がるような、集学的治療を行います。
7.予後

基底細胞がんの約85%は2cm以下の大きさで真皮内にとどまるⅠ期で見つかり、ほとんどが外科療法のみで治ります。放置すると皮膚だけでなく筋肉や骨などの深い組織へと浸潤していきますが、リンパ節や内臓への転移は約0.5%と非常にまれです。転移の心配は少ないものの、顔の中心部で局所再発を繰り返すと、周りの筋肉、軟骨、骨などの組織を破壊しながらさらに深部へと浸潤しますので、早期の手術で十分な切除が重要です。

有棘(ゆうきょく)細胞がん

1.有棘細胞がんとは

1)統計

我が国では、皮膚がんの中で基底細胞がんに次いで多く、人口10万人あたり年間約2.5人が発症していると推定されています。加齢とともに増加し、70歳以上が約60%を占めています

2)組織分類

有棘細胞がんは組織で角化傾向をもった腫瘍は分化度が高く、角化傾向のない未分化のがんは悪性度が高く、再発、転移を起こしやすいといわれており、角化傾向の程度によって4つに分類されています。

3)治療の概略

有棘細胞がんの治療は、進行度、全身状態、発症部位などによって異なります。0期、Ⅰ期の浅いがんでは外科療法、凍結療法、放射線療法ですが、Ⅱ期以上では外科療法と化学療法が主体でこれらを組み合わせて行われます。

4)原因

最も大きく関与するのは紫外線です。特に中波長紫外線(UVB)は皮膚がんの発生に大きな影響を与えています。短期間に大量の紫外線を浴びる場合だけでなく、子供の頃から蓄積された紫外線照射量によってもがんが発生します。したがって高齢の方の顔、首、手の甲など日光のよく当たる部位の有棘細胞がんが増えています。他に、ヒト乳頭腫ウイルス、やけどや外傷の瘢痕、慢性膿皮症(臀部などの治りにくいおでき)、治りにくい皮膚潰瘍、放射線療法後の慢性放射線皮膚炎、砒素(ひそ)化合物、タール類などが発生に関与するといわれています。

5)検診

皮膚がんの住民検診はありません。皮膚は体表にあるので、本人あるいは家族が、結節や腫瘤が急にできたり、潰瘍や出血が起ったり、瘢痕の部分に潰瘍ができたり、何らかの異常に気づいた場合は医療機関を受診することが大切です。

2.症状

形の不整な紅色をした皮膚の腫瘤が一般的です。表面にびらんや潰瘍を伴って出血しやすく、つまむとしこりを触れます。大きくなると腫瘍の形はカリフラワーにたとえられることもあります。がんの表面がもろくなって細菌感染をおこしやすく、膿や悪臭を伴うこともあります。

3.診断

1)視触診、ダーモスコピー

医師が、皮膚症状の視診、触診およびダーモスコピーによる観察を行います。

2)細胞診検査

表面に潰瘍あるいはびらんがある場合は、その部分にスライドガラスを当てて採取した細胞の検査をすることがあります。

3)病理組織検査

診断の確定には必要な検査で、局所麻酔をして皮膚病変の一部を切り取り、顕微鏡で調べます。

4)腫瘍マーカー

血液中のSCC関連抗原が診断の助けになることがあります。

5)画像検査

がんの深さや転移など、進行度を調べるために、X線、CT、超音波検査、シンチグラム、MRIなどの画像検査を行います。

4.病期(ステージ)

0期からⅣ期までの5つの時期に分けられます。

0期: がん細胞は出現しているが、表皮の中にとどまっているもの。 この時期を表皮内がんと呼びます。
Ⅰ期: 腫瘍の大きさが2cm以下で、真皮内あるいは真皮から皮下組織の中にとどまっているもの。
Ⅱ期: 腫瘍の大きさは2cmを超えていますが、真皮内または真皮から皮下組織の中にとどまっているもの。
Ⅲ期: 腫瘍の大きさにかかわらず、腫瘍の深さが皮下組織を越えて、
さらに深い筋肉、軟骨、骨などにおよんでいるもの、
または腫瘍の大きさにかかわらず、所属リンパ節と呼ばれる首、わきの下、太もものつけ根のリンパ節に転移があるもの。
Ⅳ期: 所属リンパ節を越えて遠隔転移(内臓に転移)をしているもの。

5.治療

治療方法には、外科療法、凍結療法、放射線療法、化学療法があります。

1)外科療法

腫瘍そのものだけを切除しても、再発や転移をおこす可能性がありますので、腫瘍の周りの皮膚も含めて切除する必要があります。手術によって皮膚の欠損が大きくなった場合には、植皮術などで修復します。Ⅲ期ではリンパ節を廓清することもあります。わきの下や太もものつけ根のリンパ節郭清を受けた場合は、手足がむくんだり、しびれたりすることがあります。首のリンパ節郭清を受けた場合には、肩の張りが続いたり、顔面神経が麻痺をすることがあります。

2)凍結療法

液体窒素を使ってがん組織を冷却し、がん細胞を凍結壊死させる方法です。0あるいはⅠ期の浅いがんはこの方法でも治療が可能です。凍結療法は身体への影響の少ない方法なので、高齢の方や合併症のある方には適した治療法です。

3)放射線療法

有棘細胞がんは皮膚がんの中で放射線療法が有効ながんの一つです。X線や電子線を体の外側から照射する方法が行われます。放射線を照射した部位の皮膚は赤くなったり、水疱、びらん、潰瘍、かゆみ、色素沈着などがおこることがあります。

4)化学療法

Ⅱ期、Ⅲ期では手術の術後の補助療法として抗がん剤治療が行われます。がんが進行している場合には、化学療法が治療の中心となります。有棘細胞がんは頭、顔、首など人目につく部位にできることが多いので、手術前に抗がん剤でがんをできるだけ小さくして、手術をできるだけ小範囲にする場合もあります。抗がん剤の種類によって異なりますが、一般的に下痢、食欲不振、吐き気、嘔吐、発熱、全身倦怠感、脱毛、呼吸機能障害、肝障害、腎障害、白血球減少、貧血、血小板減少などの副作用があります。

6.病期別治療

0期: 腫瘍の辺縁から0.5cm離して、深さは皮下脂肪組織を含めて切除します。
場合によっては凍結療法や放射線療法が選択されます。
Ⅰ期: 腫瘍の辺縁から1~2cm離して切除します。
凍結療法や放射線療法を選択することもあります。
Ⅱ期: 腫瘍の辺縁から2~3cm離して切除します。
浸潤の深い場合には、皮下脂肪組織の下にある筋膜も切除します。
化学療法や放射線療法を併用することもあります。
Ⅲ期: 腫瘍の辺縁から2~3cm離して切除します。
腫瘍は皮膚を越えて浸潤していますので、筋肉を含めて切除したり、骨を削ったり、ときには切断術が必要になることもあります。
リンパ節に転移がある場合は、所属リンパ節郭清を行います。
化学療法や放射線療法を併用することがあります。
Ⅳ期: 化学療法や放射線療法が中心とし、手術もうまく組み合わせて効果が上がるような、集学的治療を行います。

7.予後

生存率は、がんの進行度や治療別に算出しますが、合併症や全身状態などのがん以外の要因によっても左右されるのであくまで参考としてください。
有棘細胞がんは内臓がんに比べて早期発見、早期治療が可能な場合が多く予後は良好です。0期、Ⅰ期のうちに治療を受けた場合、5年生存率はほぼ100%、Ⅱ期の場合でも85%です。Ⅲ期では所属リンパ節転移のない場合で5年生存率は65%、所属リンパ節転移のある場合は55%です。Ⅳ期では、標準的な治療を行った場合の5年生存率は30%以下となります。

悪性黒色腫

1.悪性黒色腫とは

1)統計

我が国での正確な統計はありませんが、人口10万人あたり年間2.0人以上の発症があると推定されています。罹患率の国際比較では、オーストラリアのクイーンズランドでは10万人に47人と最も高く、我が国の罹患率は低いといわれています。また人種差が大きく、白人では罹患率が高い傾向にあります。

2)組織分類

表皮内黒色腫と浸潤性黒色腫に分けられます。皮膚の最外層である表皮内から基底膜を破って、表皮の下にある真皮に浸潤を始めると浸潤性黒色腫と呼びますが、浸潤の程度はさまざまです。

3)治療の概略

悪性黒色腫の治療は、進行度、全身状態、発症部位などによって異なります。外科的療法、化学療法が主体でこれらを組み合わせて行われます。

4)原因

外的刺激が危険因子と考えられています。我が国では、足の裏、つま先、爪など、ふだん慢性的に刺激を受けやすい部位や外傷を受けた部位に多く発生します。紫外線も関係しているといわれています。

5)検診

皮膚がんの住民検診はありません。皮膚は体の表面にありますので、注意すれば本人や家族によって早期に異常を発見することができます。特に生まれつきではなく、途中からできたほくろで急に大きくなった、直径5mm以上のほくろは要注意です。しかし普通のほくろと悪性黒色腫を区別することは難しく、少しでもおかしいと思うほくろに気づいた場合は医療機関を受診することが、早期発見、早期治療につながります。

2.症状

黒色の腫瘤や黒い色素斑(しみ)です。中央が潰瘍になったり、出血したり、周囲に小さな色素斑や黒色結節がみられることもあります。黒色の部分がわずかで、赤い腫瘤が大部分のこともあります。急にほくろやしみが大きくなったり、辺縁がぎざぎざしたり、色が濃くなったり、盛り上がってきたら注意が必要です。全身どこでも発生しますが、我が国では足の裏、手のひら、爪に多く発生します。足の裏や手のひらでは、はじめに黒褐色の色素斑があって、色が濃くなり、その中央部が盛り上がったり潰瘍ができたりします。爪では、はじめに黒褐色の色素線条(縦のすじ)ができて、その後色調が濃くなったり、すじの幅が太くなったりして、爪全体広がってきます。爪が割れたり、取れたりすることもありますし、黒色のしみが爪周辺の皮膚に現れることもあります。

3.診断

1)視触診、ダーモスコピー

医師が、皮膚症状の視診、触診およびダーモスコピーによる観察を行います。

2)細胞診検査

表面がじくじくした状態の時は、その部分にスライドガラスを当てて採取した細胞の検査をすることができます。

3)病理組織検査

診断の確定には必要な検査です。転移を誘発する可能性も考慮して、小さな腫瘍の場合は全体を切除して、がんの中に直接メスをいれないようにしますが、大きな腫瘍の場合には一部だけ切り取って(皮膚生検)、診断が確定されたらできるだけ早期に広範囲の切除手術をします。

4)腫瘍マーカー

血液中の5-S-シスチニールドーパ(5SCD)が診断の助けになることがあります。

5)画像検査

リンパ節や内臓への転移を調べるために、X線、CT、超音波、シンチグラム、MRI、PETなどの画像検査が行われます。

4.病期

悪性黒色腫は0~Ⅳ期に分かれます。

0期: 病理組織でがん細胞が、皮膚の一番外層にある表皮内にとどまっているもの
Ⅰ期: 転移がなく、腫瘍の厚さが1mm以下のもの、
または厚さが1mmを超えていても腫瘍表面の潰瘍がなくて2mm以下のもの
Ⅱ期: 転移がなく、腫瘍の厚さが1.01mmから2mmで潰瘍のあるもの、
または潰瘍にかかわらず2.01mm以上のもの
Ⅲ期: 所属リンパ節(初発部位から最も近いリンパ節)に転移があるもの
あるいは初発部位の周囲か初発部位から所属リンパ節までの間に皮膚転移や皮下転移があるもの。
Ⅳ期: 所属リンパ節を越えた領域に皮膚転移、皮下転移、リンパ節転移のあるもの、または内臓に転移があるもの。

5.治療

悪性黒色腫は他のがんと同様に早期発見、早期治療が最も重要です。治療法には外科療法、化学療法、放射線療法があり、進行度、全身の健康状態などを考え合わせて選択されます。治療法を組み合わせて行われることもあります。

1)外科療法

早期発見できた場合の治療の中心は手術による外科療法です。悪性黒色腫は、初発病巣の周囲に皮膚転移が点々と何カ所も発生することが多いという特徴をもっていて、初発病巣のみを小さく切除して放置した場合にはその周囲に腫瘍が再発することがよくあります。したがって最初の治療において、初発病巣辺縁より数cm大きく広範囲に切除手術を行ったり、指の場合には切断することもあります。また、所属リンパ節を摘出することもあります。広範囲に皮膚を切除した欠損部は植皮術を行います。手術後に美容的な問題が生じることがあります。指の切断手術を行った場合、患肢のしびれや痛みが残ることがあります。所属リンパ節を摘出した場合には浮腫(はれ)やしびれが残ることがあります。

2)化学療法

抗がん剤による治療ですが、インターフェロンと組み合わせた治療もあります。悪性黒色腫では数種類の抗がん剤を組み合わせて静脈注射する方法が一般的です。手術後に、微小な腫瘍細胞を攻撃して再発、転移を予防したり、内臓やリンパ節の転移巣を消退させるために行われます。抗がん剤は正常細胞にも影響を与えるためにいろいろな副作用が出てきます。その症状や程度は抗がん剤の種類や量などによって異なりますし、個人差もあります。一般的には、白血球減少、血小板減少、貧血、吐き気、嘔吐、食欲不振、倦怠感、脱毛、下痢、手足のしびれ、肝障害、腎障害などです。抗がん剤治療ではこのような副作用を少しでも軽くするような工夫がされています。化学療法の種類、量、時期、何コース行われるかなどは進行度、全身状態、副作用、治療効果を考え合わせて選択されます。

3)放射線療法

速中性子線や重粒子線という特殊な放射線では有効のことがありますが、通常の方法では効果が上がらないことが多いといわれています。

4)インターフェロン療法

インターフェロンを直接皮膚に注射します。単独で10日間注射する場合と抗がん剤治療と組み合わせて行う場合があります。

施行レジメン一覧

番号レジメン番号レジメン名
1 11170010_4 ★Weekly PTX (80)
2 11170020_5 Weekly DOC (25)
3 11170030_8 ≪FECOM≫5-FU + EPI + CBDCA + VCR + MMC (350/40/300/0.7/3.5)
4 11170040_5 Monthly DOC (60)
5 11170050_11 ≪CFP≫ CDDP + 5-FU + PEP (80/500/5)
6 11170060_9 ≪CA≫CDDP + ADM (25/40)
7 11170110_3 VP-16 (60)
8 11170130_5 ≪FP≫5-FU + CDDP (1000/10) (乳房外パジェット病)
9 11170140_4 Weekly CPT-11(100)
10 11170150_1 ≪PM≫ PEP + MMC (5/10)
11 11170170_1 ヤーボイ(3)
12 11170180_3 オプジーボ(240)
13 11170190_2 キイトルーダ (200)
14 11170200_2 オプジーボ + ヤーボイ (80/3)
15 11170210_1 ハラヴェン (1.4)

6.進行度別治療法

0期: 初発部位の腫瘍辺縁より0,5cm離して切除手術を行います。
Ⅰ期: 初発部位の腫瘍辺縁より1~2cm離して広汎切除手術が行われます。
インターフェロン療法を10日間2~3コース行うこともあります。
Ⅱ期: 初発部位の腫瘍辺縁より2~3cm離して広汎切除手術を行い、しばしば植皮手術が行われます。
予防的に所属リンパ節の郭清手術(リンパ節をすべて取ること)やセンチネルリンパ節生検が行われます。
また、腫瘍の再発や転移を予防するために抗がん剤による化学療法や、インターフェロン療法と化学療法の併用療法が行われます。
Ⅲ期: 初発部位の腫瘍辺縁より3cm離して広汎切除手術を行い、所属リンパ節の郭清手術が行われます。
皮膚転移や皮下転移に対しては大きめに切除したり、インターフェロンを注射したり、放射線治療を行ったりします。
また、腫瘍の再発や転移を予防するために抗がん剤による化学療法あるいはインターフェロン療法と化学療法の併用療法が行われます。
Ⅳ期: 全身状態により異なりますが、化学療法を中心とした集学的治療(いろいろな手段を組み合わせた治療)が行われます。
単発ないし少数個の遠隔転移は外科的に摘出したり、ガンマナイフで治療することもあります。
しかし、手術が可能な場合は少なく、一般に強い化学療法の治療が主体になります。
皮膚転移や皮下転移に対してはⅢ期と同様に治療され、強い化学療法が繰り返し行われます。

7.予後

生存率はがんの進行度や治療内容によって分けて算出しますが、合併症や全身の健康状態など、がん以外の要因によって影響されます。したがってあくまでも参考としてください。5年生存率は

Ⅰ期: 95~100%で予後は良好です。
Ⅱ期: 70~80%です。
Ⅲ期: 50~60%で、腫瘍の再発や転移が発生する確率が高く、定期的に医療機関で検査を行う必要があります。
Ⅳ期: 10%前後です。