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高度型地域がん診療連携拠点病院

高度型地域がん診療連携拠点病院としての活動

大垣市民病院 「がん診療委員会」

 2020年4月1日『高度型がん拠点病院』の指定を受けました.厚生労働省は昨年地域がん診療連携拠点病院のなかで特に診療実績が高度で、地域連携を介したがん相談、緩和ケアなどの患者・家族の生活の質を担保する働きに対して各医療圏のがん拠点病院にただ一つ、"高度型"地域がん診療連携拠点病院を設置しました(図1)。全国に約300か所ある地域がん拠点病院に対して"高度型"は47病院のみです。当院は岐阜県初の指定病院となりました。高度型には様々な要件が必須です。がんに携わる職員の配置も決められており (図2) に詳細な基準を示しますが、記載の中で"望ましい"と書かれている条件すべてを満たすことが高度型には必要です。また、がんに対する治療実績として、1)院内がん登録件数500件以上(当院は2649件/年),悪性腫瘍手術件数400件以上(1331件/年),放射線治療件数200人以上(10633件/年),抗がん剤治療件数1000人以上(8283件/年),緩和医療件数50人以上(155件/年)が求められており、当院は全ての条件を余裕を持ってクリアーしていることがわかります(カッコ内は当院の実績を示す)。

 2020年度厚生労働省が指定するがん拠点病院は、都道府県がん拠点病院51施設、高度型47施設(当院を含む)、地域がん拠点病院275施設、特殊型26施設、その他48施設となっています。特に当院のがん診療実績は全国的に見ても突出しており、毎年発刊される"手術数でわかるいい病院ランキング"(週刊朝日)でも常連となっており、胃がん大腸がんは全国10位以内です。西濃圏域のがん治療の中心として手術・放射線・抗がん剤の3本柱をこれまで以上に充実させることは当院の使命であり、手術に関しては内視鏡手術センターを核として、がんの早期から中期のがん患者に対してはこれまで以上に腹腔鏡・胸腔鏡などの低侵襲手術を拡大していく計画です。現時点でも3D内視鏡手術室、4Kカメラを用いた高精細手術、さらにICG蛍光法による安全性の担保、ダヴィンチ手術ロボットなど未来型の手術療法をすべて完備しています。放射線治療に関しては2台目の最新型治療器(IMRT)を導入して患者さんのニーズにこたえます。抗がん剤治療は、がん遺伝子治療と相まって(当院は"がんゲノム医療連携病院"に認可されています)ますます発展することが期待されています。

 がん患者の治療だけではなく、精神的サポート、あるいは生活の質を担保すべく地域の病院,診療所,訪問看護ステーション等と緊密な連携をとってまいります。患者・家族の安心・安全を第一に考えた総合的がん治療の基幹病院としてさらなる飛躍を図っていきたいと考えています。

 

図1

 

 

図2

 

 

1. 院内がん登録の整備

厚労省は、がん対策の基本はがん死亡の動向と罹患率を把握することが不可欠としています。標準様式に基づく(国立がんセンターによる)院内がん登録のデータは二次医療圏において、代表的ながん専門医療機関が他施設と比較することで自らの診療レベルを客観的に把握することが可能となるとともに、その公開により、がん患者が医療機関を選択する際の有用な情報を提供することが可能となります。
 第3次対がん10か年総合戦略で「がんの罹患と死亡率の激減を目指して」という指針に従い、当院では独自にがん診療に携わる11科ががん登録のためのデータベースを作成し運用しています。これをもとに医療クラーク室内のがん登録実務者が、国立がんセンターの登録書式に従って入力しています。このデータによって最新で、正確な、5年生存率を含めたがん診療の客観的な評価をえるための基礎データがえられています。当院では2010年に院内がん登録に基づく5年生存率を日本全国に先駆けて算出しました(別項参照)。現時点では患者さんの安否確認が困難な状況(個人情報保護法)なので早期の法改正が望まれます。

2. がん診療地域連携の整備・普及

 地域連携は、患者さんに質の高い医療を適切に提供できるように、病院間及び病院と診療所間等で診療の連携を行うものであり、高度型地域がん診療連携拠点病院においては、特定機能病院や個別のがん分野で質の高いがん医療を実施している医療機関に支援を求めたり、逆に地域の医療機関からの相談に応じることが期待されています。これまでの縦割りの医療ではなく、ネットワークを重視した横断的な医療が必要な時代にかわってきました。さらに医療施設間での連携は、医療レベルの向上、また、がんの早期発見にも寄与するものと考えられます。
 当院では2008年9月から、肺がんの地域連携クリニカルパス(患者および医療者が共有する治療計画表)がスタートし、12月からは残りの5大がん、即ち胃がん、大腸がん、乳がん、肝がんのクリニカルパスも運用がはじまりました。2012年9月現在、前立腺がんおよび緩和のクリニカルパスも加わり、累計1000例を超えるパス運用となっています。これまで一方向性であったがん診療が、双方向性となり、医療水準の均てん化にも貢献するもの考えています。
 がん治療は手術、抗がん剤(=化学療法)、放射線治療の三つに集約されます。これらの治療法の発展はがん撲滅には無くてはならないことですが、一方で緩和医療も最近重要視されるようになってきました。これは緩和=終末の概念から脱却して、患者が十分な医療行為(治療)を受けるために必要な環境を整えることであり、科学的に分析されたものであり、決して最終の医療行為のみを意味しないということです。緩和医療についても地域で連携して患者家族が安心できる医療体制を整えたいと考えています。

3. 医師、メディカルスタッフを対象とした研修会、市民公開講座の開催

 がん治療については、これまでの手術中心の考え方から、がんの種類、進行度に応じて、抗がん剤や放射線治療を組み合わせて使用する傾向に変わってきました。さらに新たな抗がん剤である分子標的治療薬が次々出現し、陽子線、重量子線などの新しい放射線治療法も急速に進歩してきています。今まで以上に、研修会、講演会などを開催して常に新鮮な知識を補充していかなくてはなりません。また、当院が毎夏行っている、「がんの市民公開講座」を通して市民のみなさんにも最新のがん治療、その他の啓蒙活動を行っています。
 医療者向けに当院が行っている研修会は、「西濃がん診療研究会」、「がん化学療法研修会(薬剤師対象)」、「西濃地域診療放射線技師研修会」、「看護部研修会」などがあります。また医師対象の「がんの早期診断研修会」は年一回開催され2018年で第10回を数えます。毎年30名ほどの医師の参加があり今後も参加者の拡大に向けて努力していきたいと考えています。
緩和ケアは特に力を入れて取り組もうとしています。緩和ケア外来、がんサロンなどの整備が必要です。また医師向けの「緩和ケア研修会」を年一回開くことが、がん診療連携拠点病院の義務となっています(2009年2月第一回開催)。緩和は医師と患者・家族を結ぶ信頼関係の礎だと理解しています。各種研修会をとおして最新の標準治療を提供できるように日々研鑽することが医療者としての最低限の責務と考えています。

 以上の3本柱を中心に、院内はもちろん院外の医療施設と一致団結して「がんの早期発見、がん撲滅」を合言葉に今後も活動していく所存です。今後はネットワークシステムの開発をふくめた医療のグローバル化にも重点を置いていくつもりです。関係各位の皆様のご協力をお願いいたします。

がん治療に関する資格と資格取得者数
がん薬物療法専門医 2名
がん看護専門看護師 1名
がん化学療法看護認定看護師 1名
緩和ケア認定看護師 3名
がん専門薬剤師 13名
緩和薬物療法認定薬剤師 2名
放射線治療専門技師 1名
がんのリハビリテーション研修修了者 2名 (医師)
2名 (看護師)
4名 (リハビリ)
院内がん登録実務中級認定者 1名
院内がん登録実務初級認定者 1名