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320列Area Detector CT( Aquilion One )

大垣市民病院に導入された最新鋭X線CT装置 「320列Area Detector(エリアディテクタ)CT」の紹介

平成23年12月に完成した新救命救急センターに最新鋭の東芝メディカル製「Aquilion ONE(アクイリオン ワン)」が設置されました。 今世紀に入り革新的な進化をとげたマルチスライスCTの最高峰がこの320列Area Detector搭載の「Aquilion ONE」なのです。

Aquilion ONEの外観

320列Area Detector CT装置について

本装置の検出器は体軸方向に0.5mm×320列(総幅 160mm)あり、当院の最新CT装置であった64列CT装置の4~5倍の幅を持っています。従来のCT装置では目的とする一臓器をスキャンするために寝 台を移動させながら検出器を数回転以上回転する(ヘリカルスキャン)必要がありました。しかし、本装置では検出器幅が160mmあるため、撮影範囲が 160mm以下である脳や心臓などの臓器では一回転(0.35秒)で全範囲をスキャン可能となります。これは、単に短時間で撮影できるだけでなく、数回転 のデータをつなぎ合わせて画像を作るヘリカルスキャンでは体軸方向に時間的なズレが生じるため、偽像ができたり、画像の精度が落ちたりしていましたが、一 回転で全範囲が撮影できれば、体軸方向にも同一時相の画像であり、画像の精度が向上します。また、一回転(0.35秒)の短時間のスキャンで済むためX線 被爆線量や造影剤の使用量も低減できます。更に本装置では160mmの範囲を連続スキャンする事が可能で、全脳や心臓などの血流動態、関節の動態、呼吸に よる肺の動態や誤嚥などの嚥下障害を三次元(3D)で評価可能です。
一方で、短時間で広範囲をスキャンするヘリカルスキャンも有用であるため、本装置では検出器320列の内160列を使用するVolume Helical Scan(ボリュームヘリカルスキャン)が可能で、様々なシーンで、多様な検査に応用可能です。

320列検出器 160mmのスキャン範囲 160列Volume Helical Scan

応用例

心臓・冠動脈

心臓については、冠状動脈のCTA(CTを用いた血管 造影)を得る際、従来の64列ヘリカルCTとは異なり心臓全体を一回転でスキャンできるため、心拍によるズレがなく、ノイズの少ない鮮明な画像が得られま す。また1心拍を最初から最後まで連続してとらえることで経時的なデータが得られるため、壁の厚さや動き、拍出血液量など、形態診断だけでなく機能診断が 可能となりました。さらに心電同期により必要な時相のみX線を曝射することで被ばく量を大幅に減らすことができます。

頭部

頭部においては、連続スキャンにより、造影剤が到達し ない単純CT画像、動脈相や静脈相など狙ったタイミングの造影CT画像得られ、またそれぞれが三次元のボリュームデータであるため任意の断面や3D画像の 作成も可能です。しかし、頭部での最大の利点は脳全体の高分解能全脳血流検査(Whole Brain CT Perfusion)が可能となり、3D画像として全脳の血流を検査・診断できるようになったことです。さらに、造影剤が入った画像から入る前の画像を引 き算する(CT-DSA:CT-Digital Subtraction Angiography)で、骨に埋もれた血管を取り出して、その血流を見ることが可能となり、これまで見逃されがちだった小脳や頭頂部の病変なども正確 に診断可能です。

小児への応用

従来、乳幼児のCT検査は患児に大変なストレスを与え る上、撮影時の静止が必要だったため、麻酔処置を行って撮影することが頻繁に行われていました。しかし本装置は一回転0.35秒の短時間で撮影できるため 鎮静の必要がなく、しかも被ばく量も大幅に減らせるため、乳幼児の検査にきわめて有効です。

救急患者への応用

救急検査においては、体動があったり、呼吸停止が不可 能な事例や、容体が悪く早く検査を終わらせたい場面に遭遇することがあります。本装置では160列Volume Helical Scanを使用することにより、一般的な胸腹部のスキャン(600mmの範囲)を約3.8秒で撮影可能で、素早く撮影を終えて次の処置に移行することがで きます。また。そのスキャンデータも三次元のボリュームデータであるため、任意の断面の作成や、腰椎や骨盤骨折などの3D画像も作成可能です。