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抗菌薬適正使用支援

抗菌薬適正使用支援業務(Antimicrobial stewardship)

 当院薬剤部では2012年より感染制御専門薬剤師が感染症患者を早期から監視し、必要時に医師に対してフィードバックを行う介入を開始しました。2012年当初は特定の抗菌薬使用患者に限定した介入を行っていましたが、感染管理支援システム(BACT Web®)の導入(図1)により2017年より入院中の注射用抗菌薬使用患者全例に対象を拡大し、入院中の患者さんの安心と安全のために努めています。2024年現在では1日平均約120名の患者さんを連日フォローアップしています。また、黄色ブドウ球菌やカンジダが血液から検出された患者さんには早期より医師に対して治療指針に基づいた介入を行っており、治療の質の向上と死亡率低下に貢献しています。

koukinyaku1.jpg図 感染管理支援システム(BACT Web®)による患者モニタリングシステム

電子カルテと連動したシステムを用い、患者情報管理を行っています。感染管理に必要な情報が一元管理でき、効率的な介入を行っています。

抗菌薬適正使用ラウンドへの参画

 当院では感染対策チームを発足し、診療報酬の感染対策向上加算1を算定しています。感染対策チームは医師、薬剤師、看護師、微生物検査技師からなり、Infection Control Team(ICT) とAntimicrobial Stewardship TeamAST)の大きく分けて2つのチームから構成されています。薬剤師はその中でも抗菌薬適正使用支援を目的としたASTの中心的役割を担っています。週2回の抗菌薬適正使用ラウンドでは薬剤師が症例の選定と提示を行い、薬剤師が主導となり活動を行っています。

感染症治療ラウンド写真.png写真 抗菌薬適正使用ラウンドの様子

2回の抗菌薬適正使用ラウンドのうち週1回は感染症専門医を外部から招聘し、感染症難渋例などに対して症例検討および患者ラウンドを行っています。年間800件近く実施しています。

TDM(Therapeutic drug monitoring)

 抗菌薬TDMは、バンコマイシン、テイコプラニン、アルベカシン、アミカシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、ボリコナゾールを対象に初期投与設計およびTDM解析を行っています。個々の患者さんの薬物動態パラメータや病態に基づいた投与方法を医師へ提案しています。