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緩和ケアについて

緩和ケアとは

 がんなど悪性腫瘍で治療が難しいと診断された方に対して、病気に伴う痛み・息苦しさ・吐き気・便秘などの身体症状をやわらげたり、うつ気分・不安などの精神症状をやわらげたりする治療や援助のことです。
 当院には緩和ケア病棟はありませんが、緩和ケアが必要と考えられる入院中の患者さんに対しては緩和ケアチームのかかわりを徐々に拡げていくことにより、患者さんにとってより良い医療・ケアを提供しようと、拠点病院にふさわしい緩和ケアの実践に努めていく予定です。

緩和ケアチームとは

 緩和ケアを提供するために、身体の症状をやわらげる身体科医師、こころの症状をやわらげる精神科医、看護を担当する看護師が主に担当しています。
 当院の緩和ケアチームは現在血液内科、精神科、麻酔科、呼吸器科、外科、呼吸器外科、消化器科の医師と、がんの患者さんが比較的多い病棟に勤務している8名の看護師から構成されています。

緩和ケア活動の実際

 入院中の患者さんが対象になります。現在のところ、緩和ケアが必要と考えられる患者さんについて緩和ケアチームの医師、看護師およびその患者さんの主治医・担当看護師などで定期的に症例検討会を行っています。症例検討会では身体面・心理面・社会面などいろいろな側面からその患者さんにどのような治療・援助が必要かを考えます。主治医と担当看護師はそこで出された方針を参考にして、患者さんの苦痛をやわらげることができるように治療・援助を行っていきます。必要があれば同じ患者さんについて再度症例検討会で検討を行うこともあります。

緩和リハビリテーション開始に向けて

 欧米では、緩和リハビリテーションは30年も前からがん治療の重要な一分野として認識されています。その点では日本はまだまだ遅れています。
近年、がんに対しては高度な手術手技、治療薬、化学療法、放射線療法などすべてにおいて絶え間ない前進をしています。そして、そのために「がんと共存」していく時代となりました。病気を抱えながらも本人だけでなく家族や友人も笑い合える人生が築いていけるように支えていく必要があります。
がん患者にとって、がん自体に対する不安は当然大きいものですが、がんの進行や治療の過程で運動麻痺、筋力低下、拘縮、しびれ、高次障害、嚥下障害、発声障害、四肢長管骨や脊椎の圧迫・病的骨折、四肢の浮腫などさまざまな機能障害を生じます。歩行や日常生活活動(ADL)に制限を来たすことで、寝たきりになったり、家族の介助なしでは生活できない状態となり、QOLの低下へとつながります。これらの問題に対してリハビリテーションを行う必要性は、今後ますます増えていくと思われます。
当院では現在2名のリハスタッフと医師、看護師が、緩和リハビリテーション研修会を終え、小さなチームを組んで自宅退院に向け、取り組み始めました。なごみ庵(患者さんの交流の場)の開設、緩和ケアチームの充実に加え、今後はリハビリテーションの介入によって身体機能だけでなく、患者さんやご家族の心理的効果にも目が向けられるような関わりをしていきたいと思います。

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