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リハビリテーション科

リハビリテーション科の紹介

 開院と同時に整形外科物療室として始まり、1965年に理学診療科、1997年に医療技術部リハビリテーションセンターとなり、現在は運動器リハビリテーション料(Ⅰ)、脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)、心大血管疾患リハビリテーション料(Ⅰ)、呼吸器リハビリテーション料(Ⅰ)、がん患者リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテーション料(Ⅰ)、摂食機能療法、集団コミュニケーション療法料の施設基準を所得し、理学療法士30名、作業療法士8名、言語聴覚士7名で急性期におけるリハビリテーションに取り組んでいます。

基本方針

  • 基幹病院として地域に貢献する医療を目指し、他の医療機関との役割分担を図り、病診連携の強化に努めます。
  • 地域の要望に応えられる医療技術を提供します。
  • 安全で良質な医療技術を提供するため、日々研鑽します。

スタッフ紹介

安藤 守秀
安藤守秀 呼吸器科医長
役職 呼吸器内科副院長
卒業大学名
医師免許取得年
名古屋大学
1986年
専門医資格(その他)
専門分野
槇 英樹
槇 英樹脳神経部長
役職 脳神経外科部長
卒業大学名
医師免許取得年
自治医科大学
1990年
専門医資格(その他)
専門分野
横手 淳
横手淳 胸部外科部長
役職 胸部外科部長
卒業大学名
医師免許取得年
名古屋大学
1995年
専門医資格(その他)
専門分野
鹿野 博明
鹿野博明 小児科部長
役職 小児科部長
卒業大学名
医師免許取得年
岐阜大学
1996年
専門医資格(その他)
専門分野
北田 裕之
北田裕之
役職 整形外科部長
卒業大学名
医師免許取得年
名古屋市立大学
1996年
専門医資格(その他)
専門分野
堀 紀生
役職 神経内科部長
卒業大学名
医師免許取得年
名古屋大学
1999年
専門医資格(その他)
専門分野
伊藤 美春
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役職 第2小児科医長
卒業大学名
医師免許取得年
名古屋大学
2003年
専門医資格(その他)
専門分野
渡邊 直樹
役職 循環器内科医長
卒業大学名
医師免許取得年
岐阜大学
2008年
専門医資格(その他)
専門分野
雄山 博文
役職
卒業大学名
医師免許取得年
名古屋大学
1983年
専門医資格(その他)
専門分野

延べ患者数(2022年4月~2023年3月)

外来
理学療法 作業療法 言語療法
脳血管疾患 795 75 140
心大血管疾患 161 - -
運動器 750 4860 -
呼吸器 1665 23 -
廃用症候群 0 0 0
摂食機能療法 - - 45
入院
理学療法 作業療法 言語療法
脳血管疾患 13113 10349 4427
心大血管疾患 10744 - -
運動器 12392 1620 -
呼吸器 8443 117 -
緩和 3075 526 64
廃用症候群 9278 1408 2
摂食機能療法 - - 5207

2022年度学術活動

【学会発表】

学会発表:5件  講演:2件

《 認定・資格 》

 知識及び技術レベルの向上で、より質の高い業務遂行のため、各種学会・職能団体が認定する資格取得を目指して
います。

【認定理学療法士について】

 認定理学療法士制度は、7分野23領域から成り、それぞれの認定領域において専門性の高い良質なリハビリテーションを提供しつつ、理学療法の学問的な発展に貢献することを目的に定めたものです。認定理学療法士になるためには、新人教育プログラム修了かつ指定の研修を受講し、レポートや試験に合格する必要があります。当院では現在、11名の認定理学療法士が在籍しており、各領域において専門的リハビリテーションの提供に努めております。

 脳卒中認定理学療法士 1名
 発達障害認定理学療法士 1名
 運動器認定理学療法士 2名
 循環認定理学療法士 2名
 呼吸認定理学療法士 4名
 代謝認定理学療法士 1名
 健康増進・参加認定理学療法士 1名
 臨床教育認定理学療法士 1名
 管理・運営認定理学療法士 1名

【認定言語聴覚士について】

 認定言語聴覚士制度は、資質向上と学習の継続を目的としたものです。認定言語聴覚士になるためには、一定の臨床経験を有し、基礎と専門のプログラムを修了し、試験に合格する必要があります。当院では現在、1名の認定言語聴覚士が在籍しており、摂食嚥下障害へのリハビリテーションの充実に努めております。

 認定言語聴覚士(摂食嚥下障害) 1名

【その他の認定・資格】

 臨床実習指導者講習会修了 22名
 三学会合同呼吸療法認定士 14名
  がんのリハビリテーション研修会修了 12名
 介護支援専門員 7名
 福祉住環境コーディネーター2級 6名
 心臓リハビリテーション指導士 5名
 BLSインストラクター 4名
 医療安全管理者研修修了 3名
 介護予防推進リーダー 3名
 社会福祉士 3名
 健康運動実践指導者 2名
 弾性ストッキングコンダクター 2名
 地域ケア会議推進リーダー 2名
 日本糖尿病療養指導士 2名
 岐阜県肝炎医療コーディネーター 1名
 健康管理士一般指導員 1名
 公認心理師 1名
 骨粗鬆症マネージャー 1名
 障害者スポーツ指導員3級 1名
 心不全療法指導士 1名
 認知神経リハビリテーション マスターコース修了 1名
 フレイル対策推進マネジャー 1名
 訪問リハビリテーション実務者研修修了 1名
 ボバース概念脳性麻痺上級講習会修了 1名

【修士以上の学位取得】

 健康科学専攻科 修士 1名
 リハビリテーション療法学 修士 1名

理学療法室

理学療法とは?

 検査,測定/評価に基づき,何らかの疾病,傷害(スポーツを含む)などに起因する機能・形態障害に対する運動療法による筋力,関節可動域,協調性といった身体機能,および温熱,水,光線,電気などの物理療法による疼痛,循環などの改善を図る治療科学です。また能力障害が残ったとき,基本的動作や日常生活活動を改善するための指導,そして社会生活を送る上で不利な要素を少なくするための福祉用具の選定や住宅改修・環境調整,在宅ケアなどが含まれます。近年では,生活習慣病の予防,コントロール,障害予防も理学療法の対象になっています。(協会ホームページより)

 理学療法室では、脳血管疾患や運動器疾患だけでなく、呼吸器疾患・心大血管疾患、・小児に対して専門分野を設け、患者さんの要望に応えられる医療技術を提供しています。

運動器リハビリテーション

 整形外科医の指示に従い術後早期より全身状態に合わせて、リハビリを開始します。理学療法士、作業療法士は痛みの原因や関節可動域制限の原因、筋力を検査、評価し運動能力向上に努めます。
具体的には移動能力(歩行、階段昇降)、移乗(車椅子、トイレ)の獲得や、様々な日常生活動作の自立を目標に実施しています。
また、必要に応じて退院後の外来リハを行ない早期に受傷以前の機能を獲得出来るように努めて行きます。

運動器.JPG

脳血管疾患リハビリテーション

 当センターでは、脳血管障害、神経性難病、血液疾患に対し、十分なリスク管理のもと発症後早期は廃用症候群の予防や早期離床を目的に行い、離床後は活動性やADL向上を目的とした機能訓練や動作訓練を積極的に行っています。
  また、脳神経外科、神経内科、糖腎内科、血液内科では月1回リハビリテーションカンファレンスを実施し、医師・看護師・リハビリテーションスタッフらが対象症例に対してリハビリ内容の報告と治療方針の確認・変更などの話し合いを行っています。
  地域連携事業として医療・保健・福祉が協力できるよう地域連携パスの充実に努めています。

脳血管.JPG

心臓リハビリテーション

心臓リハビリテーションとは?

 過去、心筋梗塞・慢性心不全・心臓血管手術後などの疾患をもつ患者さんは、安静が第一、運動は禁忌であると一般的に言われていましたが、今日では安静が心肺機能低下と筋力低下(廃用症候群)等を引き起こし、生活復帰を困難にしていると考えられています。米国では『心臓リハビリテーションとは医学的な評価、運動処方、冠危険因子の是正、教育及びカウンセリングからなる長期にわたる包括的なプログラムである。このグログラムは個々の患者の心疾患に基づく身体的・精神的影響を出来るだけ軽減し突然死や再梗塞のリスクを是正し動脈硬化の過程を抑制あるいは逆転させ心理社会的ならびに職業的状況を改善することを目標とする。』
 米国医療政策研究局(AHCPR)の臨床診療ガイドライン(1995)と定義されています。当院心リハでは急性期から積極的に心機能の許す範囲内で運動療法を実施、そして運動だけではなく病気についての講義、栄養指導、服薬指導等にも積極的にアプローチしています。このような方法により自分自身の運動習慣、生活習慣を見直すことができ病気の再発予防と生活関連QOL(生活の質)を向上させることが可能となります。また一方で運動は自分なりの方法で行った場合、やり過ぎや誤った運動でかえって心機能を悪化させることがあります。「どのような運動をするのか」「どの程度の強さの運動をするのか」は運動負荷試験(トレッドミルによる心肺負荷試験)の結果をもとに専門医がわかりやすく説明します。その後も定期的に運動負荷試験を施行し心肺機能の改善度合いを評価して行きます。当院における外来心リハでは、毎回35名以上参加され、とても好評で皆さん仲良く楽しく運動を行っています。

準備体操 マシントレーニングとマット上全身調節運動
準備体操 マシントレーニングと
マット上全身調節運動
リハ開始
前 後

 図1 心リハ後の左心室機能の改善

心臓リハビリテーションの効果について(一般的には以下のような効果が証明されています。)
  1. 運動能力向上により楽に動けるようになります。
  2. 狭心症、心不全の症状が軽減します。
  3. 不安、うつ状態が改善し快適な社会生活を送ることができます。
  4. 動脈硬化の原因となる危険因子(高脂血症、糖尿病、肥満等)を是正します。
  5. 血管が自分で広がる能力(血管内皮機能)や自律神経の働きがよくなるとともに血栓ができにくくなります。
  6. 心筋梗塞の再発や突然死が減り死亡率が減少します。(3年間で約25%の死亡率が低下)

 当院の経験からも運動療法によって心臓の働きが全く正常に戻るわけではありませんが、図1の矢印に示すように壊死に陥っていない心臓の筋肉の働きはかなり改善します。また適切な運動と生活習慣を継続することによって動脈硬化の進行を予防し日常生活においては動作が楽になり、快適な生活を長く続けることが可能になります。図の円グラフは当院心リハ外来患者さんに5ヶ月後アンケート調査をおこない自覚症状の変化を記載しました。

図2 当院リハビリで良くなった点

呼吸リハビリテーション

呼吸リハビリテーションとは?

  〇トイレや入浴などの日常の簡単な動作で息切れがある。また息切れのために体を動かす機会が減っている
  〇慢性の呼吸器の病気の悪化により入院することがある
  〇慢性の呼吸器の病気があり手術を受けることになった

 これらの症状や問題などを緩和し、楽に生活していけるようサポートすることが呼吸リハビリテーションの目的です。

次のような病気や病態が対象となります

  〇COPD(慢性閉塞性肺疾患)、肺線維症、間質性肺炎などの慢性の病気
  〇COPDや肺線維症などの慢性の呼吸器の病気が急に悪化したとき
  〇気管切開や人工呼吸器管理を受けているとき
  〇肺がんや食道がんなどの手術前後

当院の呼吸理学療法
  当院における呼吸理学療法は、呼吸ケアを専門とする理学療法士が評価を行い、患者さん個々に合わせたプログラムを作成し実施します。

呼吸トレーニング
 息を吸うときに横隔膜(腹式呼吸)を使って鼻から吸い、息を吐くときに口をすぼめて(口すぼめ呼吸)ゆっくりはき出します。
   < 呼吸法の練習 >

排痰療法
 痰がたまっている部位を高くした姿勢をとることで、痰が出しやすくなります。さらに呼吸介助法などを用いることにより排痰が促進されます。 排痰療法は、気道が開き呼吸が楽になるとともに気道感染を防止する役割があります。


呼吸介助法
 慢性の呼吸器の患者さんには胸郭の動きが低下していることが多く、呼吸介助法を行うことにより呼吸が楽になり、呼吸の筋肉の疲労が改善されます。
  < 呼吸介助法の様子 >

筋力トレーニング
 筋力トレーニングは、筋肉の有効な酸素利用を促進し、体力や活動性を高めるのに効果があります。


有酸素運動
 ウォーキングや自転車エルゴメーターをすることで、心肺機能の改善につながります。
  < ウォーキングの様子 >

在宅酸素療法
 呼吸器ケアを専門とした理学療法士が、在宅酸素療法の導入や導入後も酸素療法の相談や機器の不具合の対処、酸素流量の再調整などをサポートしています。
< 酸素ボンベの使い方の練習 >

 
 ※呼吸理学療法は、医師の指示のもとに理学療法士が病態、合併症などを考慮してその日の体調、運動時の脈拍や
   血中酸素濃度などを考慮して実施するので、誰でも安全に行うことができます。



急性期呼吸リハビリテーション

  • 呼吸リハビリチーム
    集中治療室、救命救急室に入室された患者さんに対し呼吸器科医を主体に専従理学療法士2名、主治医、看護師、臨床工学士など他職種との密接な連携のもとに呼吸・気道管理を早期から積極的に介入しています。チームとして活動し、急性期での包括的な呼吸リハビリテーションを展開しています。
  • 急性期呼吸リハビリの目的
    呼吸管理に関連した肺合併症の改善および臥床に伴う肺合併症の防止、円滑な呼吸管理の実施のためのサポート、早期離床を目的とし早期から介入することで肺合併症の発症率・死亡率を低下させるだけでなく早期回復につながります。

がんのリハビリテーション(緩和リハビリテーション)

 がんの進行による安静や治療に伴い筋力低下が起こり、さらにがん性疼痛や倦怠感などによる活動性低下から二次的にも体力低下が生じます。また、手術後起こりえる肺炎、抗がん剤や放射線療法による血球や電解質の乱れ、食欲低下などによる低栄養に陥る可能性があり、移乗動作や歩行、セルフケアなどのADL(日常生活動作)に制限を生じ、QOL(生活の質)の低下をきたすおそれがあります。これらの問題に対して、当センターでは前述のリスクに配慮しながら、術後、抗がん剤などの化学療法中や治療後、安静に伴う活動性低下による体力低下に対して、また終末期の時間を有意義に過ごすためのリハビリテーションを行なっています。
 がんのリハビリテーションでは、抗がん剤治療中や治療後の有酸素運動による体力の低下や副作用の軽減、肺がん・食道がんの周術期呼吸リハビリテーションの呼吸合併症の予防、乳がん術後の肩挙上範囲の拡大、生活満足度の向上など様々な報告があり、がん患者のADLやQOL向上のためにはリハビリテーションが効果的だと考えられています。また、AHCPR(米国医療政策研究局)のがん性疼痛ガイドラインでは運動療法の有用性が勧告されています。
 当センターでは、上記以外にも、主治医からの依頼だけでなく患者さんの希望に応じてや、緩和ケアラウンドにてリハビリテーション導入の検討を行い、より早くリハビリテーションが介入出来るようにしています。患者さんの病状は日々変化しており、回診やカンファレンスなどを行いスタッフ間で情報共有をして患者さんのneeds(要望)を十分に把握する様に心掛け、心理支持的な面でも携わらせていただけるよう努めています。

がんリハ.png

リンパ浮腫外来

 当院産婦人科では婦人科系の癌の術後、足の腫れが引かず悩んでおられる患者さんに対し、2009年4月からリンパ浮腫外来を立ち上げました。当初は産婦人科医師1名と看護師1名で約100名の患者さんに週1回 14時から16時30分まで評価・治療を行っていましたが、平成24年から理学療法士が補助に入り、2013年4月からは医師の指示のもと理学療法士2名が業務を引き継ぐことになりました。リンパ浮腫の重症度を評価し、その段階に応じた治療(弾性ストッキングを用いた圧迫療法)、リンパドレナージ指導などを行っています。

小児リハビリテーション

 発達に遅れがみられるお子様、一人ひとりに合わせた指導を行い、運動・感覚能力を育み、よりよい日常生活に結び付けようとするものです。
 当センターでは、脳性麻痺など生まれつき発達障害をもつ子どもや、脳炎・脳症によって後天性の脳損傷を持つ子どもに対してリハビリを行っています。
 早く生まれたお子様に対しては新生児集中治療室(NICU)入院時よりかかわり、超低出生体重児に対するフォローアップも行い、障害の早期発見に努め、療育施設や教育機関との連携を行っています。

小児リハビリ室

小児リハビリ室

作業療法室

作業療法とは?

 基本能力(運動機能・精神機能)、応用能力(食事やトイレなど生活で行われる活動)、社会生活適応能力(地域活動への参加、就労就学の準備)の3つの能力を維持・改善することを目的に行われます。また、環境の調整、社会資源の活用を促します。これらは、「作業活動」を媒介として行われ、その人らしい生活の獲得が目標になります。 [作業療法ガイドより]
 当院では作業療法士8名で、急性期において十分なリスク管理のもと、早期に廃用症候群の予防、離床やADL自立を目指して積極的な介入を進めていきます。主な対象疾患は整形外科(上肢の骨折、背髄損傷、関節リウマチなど)、内科(脳血管障害など)、脳神経外科(頭部外傷、脳腫瘍術後など)、呼吸器科(COPD、結核後遺症など)です。2010年度よりがんのリハビリテーション(様々ながんの術後、化学・放射線治療中・終末期における緩和リハビリ)を実施しております。

作業療法実施の様子

指導内容
  • ADL獲得を目的とした環境整備を含むアプローチ(自助具の導入など)
  • 高次機能障害(半側空間無視や注意障害など)の有無や状態の把握と環境整備
  • 効率のよい介入方法の検討と家族指導
病棟指導
病棟指導その1 病棟指導その2 病棟指導その3
刺激の入りやすい非麻痺側からのアプローチで覚醒を促し意識の表出能力を探ります。またポジショニングにより安定した姿勢を提供します。 セラピストおよび本人の指を用いて脳への刺激を与えます。 バイタルサインの安定、神経症状の進行の停止、意識レベルがJCS10以上に清明という基準を満たせば坐位訓練を開始します。
病棟指導その4 病棟指導その5 病棟指導その6
作業活動風景(レザークラフト)活動を通じて巧緻動作や注意力の改善などを目的に取り組みます。 訓練室にての更衣動作
退院後自宅で着る服を、手順を確認しながら脱ぎ着する練習を行います。
徒手的アプローチ
骨折後の手関節の可動域制限に対して、徒手的手技を用いて可動域の改善を図ります。
身体機能面への働きかけ

 作業活動を通じて、実際の生活に必要な筋力、関節の動き、感覚機能などの維持・改善をはかると共にスムーズな動きや耐久性の獲得などを行います。

日常生活動作への働きかけ

 食事、更衣、排泄などの日常生活動作や家事について、その動作ができない原因を評価し、その人にあった適切な方法を患者さん・家族にアドバイスを行います。また、自宅に帰るために、住環境の調節や自助具の導入など提案します。

高次脳機能面への働きかけ

 交通事故や転倒、脳血管障害にて高次脳機能障害を呈した患者さんに対し、評価・検査を行い、患者様・家族に障害を自己認識して頂くよう促します。高次脳機能障害には注意障害、記憶障害、遂行機能障害、社会的行動障害といった様々な病態があるため、それぞれの病態に適したプログラムを提案し、机上課題や日常生活課題を行い、日常生活動作が安全に、かつ円滑に行えるようにアドバイスします。

呼吸器疾患における作業療法

 エネルギー消費の少ない効率の良い動作や息切れの少ない動作の獲得によるADLの改善を目的に取り組んでいきます。日常生活動作(食事・更衣・トイレ・入浴など)においては以下のことに注意しながら評価・指導します。

  1. 呼吸法の指導・呼吸と動作との同調
    効率的な呼吸法に合わせてゆっくりと動作を行う、呼気にあわせて息苦しい動作を行う等
  2. 仕事量の調節
    単位時間あたりの仕事量を調節する、動作の簡略化を図る、動作の途中で休憩を入れる等
  3. 動作様式の変更
  4. 環境調整
    動線や家具の位置、家族の状況などを考慮して検討する

    がんのリハビリテーション

     がんは長年、不治の病と考えられていたため、がん患者に対する作業療法は行われておりませんでした。しかし近年、早期発見が進み、治療成績も向上したことから、がんになっても、適切な治療を受けることによって、病気とうまく付き合っていけるようになりました。そうなると、「いかに、自分らしく生きていくか」に重点が置かれるようになります。
     当センターでは2010年より「がんのリハビリテーション」を開始しました。私たちは普段の生活で、朝起きたら当たり前のように「顔を洗い」、「歯を磨き」、「箸を使って食事をする」。トイレに行ったら「用を足して、お尻を拭く」。着替えをするときは、「シャツを頭からかぶり」、「ボタンを留めて」「スカートやズボンのファスナーを締める」。風呂に入るときは、「浴槽をまたいで風呂の湯につかり」、「体や髪を洗う」。こうした「当たり前のこと」が、がんの病状の進行により出来なくなります。しかし、誰もが「身の回りの事は自分でやりたい。今までの仕事や趣味を続けたい。また家族旅行がしたい。」と願っています。そんな患者さんの希望に対して作業療法士は、退院後の家庭生活を考慮した身の回り動作の練習をひとつずつ行います。出来ない場合は他の方法を考えていきます。病気により抑うつ的な患者さんには心身のストレス軽減のため、集中して取り組める創作活動や楽しみながら行えるその方の趣味を生かした活動を提供しております。
     当センターでは最近、多くの診療科よりリハビリテーションの依頼が増え、2019年度は270件以上に上りました。症状も複雑多岐に渡るようになりました。造血器がんなどの入院が長期化した方、骨転移で痛みが強い方、ターミナル期で在宅復帰を目指される方、抑うつ的で活動性が低下した方など、がんのリハビリテーションが必要な方が増えつつあります。
     がん医療は当院一丸となって取り組んでいる分野であり、当センターでは「病気が治る」だけでなく「病気と生きる」「その人らしさを取り戻す」関わりを心掛けています。

    言語聴覚療法室 

    言語聴覚療法とは?

     言語聴覚療法とは、言語聴覚士(ST:Speech -language-hearing Therapist)が行うリハビリテーションのことをいいます。言語聴覚士はことばによるコミュニケーションに問題がある方に専門的サービスを提供し、自分らしい生活を構築、獲得できるよう支援する専門職です。また摂食・嚥下(えんげ:飲み込みの障害)の問題にも対応しています。
     ことばによるコミュニケーションの問題は脳卒中後の失語症・運動障害性構音障害、ことばの発達の遅れ、発声や発音の障害など多岐にわたり、小児からご高齢の方まで幅広く現れます。言語聴覚士はこのような問題に対して検査・評価を実施し、必要に応じて訓練・指導、助言、その他の援助を行います。円滑に日常生活を送り、コミュニケーションの楽しさと希望のある生活を取り戻せるように支援します。

    当院での言語聴覚療法

     言語聴覚士の治療・訓練は5つの個室にて行っています。これは、ことばがうまく話せなくなったり・使えなくなった方の心理的ストレスは相当なものであり、そのような状態でも周りを気にせずに、集中し訓練をしていただく為です。
    また、訓練中は患者さんと一対一になることが多く、訓練・指導の場ということだけでなく、信頼して何でも話していただけるような安心できる空間・時間でありたいと思っております。

    • 小児から成人まで行っています(入院中心)
    • 脳卒中、くも膜化出血、脳腫瘍、脳炎、頭部外傷、脳性麻痺等による言語障害(失語症、運動 障害性構音障害)、嚥下障害、高次脳機能障害
    • 発音が上手くできない等のことばの障害
    • 喉頭を摘出した方の発声障害
    • 頭頚部耳鼻咽喉科にて聴力検査(聴力・聴覚)、補聴器外来の実施
    • 知能検査や発達検査、認知症検査も行っています
    • 院内NST(摂食嚥下障害対策チーム)の一員として活動しています
    • 誤嚥性肺炎に対して早期よりチームアプローチにて介入しています
    • 周術期の誤嚥性肺炎予防プログラムに介入しています
    訓練・指導・検査の様子
    失語症(ことば)の訓練をしています 嚥下障害(飲み込み)の訓練をしています
    失語症(ことば)の
    訓練をしています
    嚥下障害(飲み込み)の
    訓練をしています
    発音の訓練をしています 聴力検査の様子です
    発音の訓練をしています 聴力検査の様子です

    看護師の役割

     午前中は診療の介助を中心に行い、動きの不自由な患者さんが多いので事故のないように細心の注意を払い、患者さんの回復意欲へとつながることを願いながら介助にあたっています。
    水・金の午後からは外来心臓リハビリテーションにおいてバイタルチェックを行い、円滑に運動ができるようにサポートすると共に、体重測定や腹囲測定、生活状況などを把握し改善点をアドバイスしています。