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喉頭がん

1.喉頭がんとは

1)統計

わが国における頭頸部癌の罹患数は2000年には約3.1万人で、全癌総数の5.3%にあたります。そのうち喉頭がんは約3900人であり、男女比は20:1で圧倒的に男性に多い。理由としては外交的性格としての過量喫煙、飲酒習慣、多食傾向、口腔不衛生、多弁が原因といわれています。特に喫煙と関係が深く1日20~30本、30~40年が平均的喫煙歴です。アルコールは元来、発がん物質ではありませんが喫煙との相乗効果で発癌母地を作ると推測されています。

2)組織分類

99%以上は扁平上皮癌です。

3)治療概略

喉頭癌の治療は早期癌であれば放射線療法でも、レーザー治療でも部分切除でも比較的予後は良好です。治療法の選択は、どの治療法にも一長一短があり、患者側の生活状況や治療医の経験、技量、考え方により各施設で異なります。進行癌の場合、放射線治療、抗がん剤治療、手術を組み合わせて治療を行い、可能であれば喉頭の温存を目指します。

4)原因

真の原因は不明ですが、長期の重度喫煙歴のある男性、特に50歳以上のヘビースモーカーに多いとされています。特に声門上癌は過度の喫煙や飲酒により、本来の組織である線毛上皮が扁平化生をきたし扁平上皮癌を形成すると考えられています。

5)検診

残念ながら喉頭は検診がないので、早期に嗄声を自覚する声門(声帯)癌は発見されやすいが、症状の出ない声門上癌や声門下癌は早期で発見されることが少ないです。

2.症状

早期に嗄声を自覚する声門(声帯)癌は早期発見の可能性があります。声門上癌は咽喉頭異常感を生じることが多く、声帯に伸展すると嗄声を生じます。声門下癌は無症状なことが多く、早期で発見されることがほとんどありません。声帯に伸展するとやはり嗄声を生じます。いずれの癌も進行すると喉頭狭窄をきたし、呼吸困難を自覚するようになります。

3.診断

1)内視鏡検査

細い内視鏡を鼻から挿入し、喉頭を観察し場合によっては喉頭ストロボスコピー(*)を行ったり、組織を採取したりします。通常は吸入による局所麻酔で行います。
(*)喉頭ストロボスコピー:ストロボフラッシュを断続的に光らせ声帯の振動をスローモーションのように観察する装置。声帯に生じた癌の早期発見に有効です。

2)全身麻酔での顕微鏡下検査

局所麻酔下では観察や組織採取が難しい、喉頭反射が強い患者様や、喉頭室や声門下の癌に有用です。

3)画像検査

X線検査やCT、MRI、超音波検査で腫瘍の広がりや頚部のリンパ節転移の有無を総合的に判断します。シンチ検査で遠隔転移の有無もチェックします。

4)消化器内視鏡検査

喉頭癌をはじめとする頭頸部癌は、多発癌や重複癌の頻度が高いので、食道癌の有無を調べるために上部消化管内視鏡検査を行うことが多いです。

4.病期(ステージ)

1)領域分類

喉頭癌は声帯のある声門癌と、その上方(口側)の声門上癌とその下方(肛門側)の声門下癌の3領域に分類します。

2)喉頭癌は病巣の広がりの状況で0~Ⅳ期に分類されます。

0期: 癌原発巣が上皮内にとどまる極早期の段階。
Ⅰ期: 癌原発巣が局所に限局し、声帯運動が正常で、リンパ節転移を認めない段階。
Ⅱ期: 癌原発巣が声門であれば声門上部または声門下部へ伸展し、
声門上部または声門下部であれば声門へ進展し、
声帯運動が正常あるいは制限された状態で、リンパ節転移を認めない段階。
Ⅲ期: 癌原発巣がいずれの領域であっても声帯が固定し、
かつ喉頭外には伸展しない状態で、リンパ節転移を認めない段階。
癌原発巣が喉頭外には伸展しない状態で、
原発巣と同側で3cm以下の単発リンパ節転移を認める段階。
ⅣA期: 癌原発巣が喉頭外に伸展した状態で、リンパ節転移を認めない、
あるいは原発巣と同側で3cm以下の単発リンパ節転移を認める段階。
癌原発巣の状態とは関係なく、原発巣と同側で3cm~6cmのリンパ節転移を認める、
あるいは両側か対側に6cm以下のリンパ節転移を認める段階。
ⅣB期: 癌原発巣の状態とは関係なく、6cmより大きなリンパ節転移を認める段階。
ⅣC期: 癌が他の部位、たとえば肺や肝臓などに転移している段階。

5.治療

喉頭癌の治療法は、外科療法、放射線療法、化学療法(抗癌剤)の3つが主体となります。その選択は癌の進達度や患者様の癌以外の健康状態、治療に当たる医師の経験や技量および考え方や、施設(病院)の設備や医師を含めたスタッフ(看護師や技師)の数など様々な因子により、各施設により異なることが多いようです。

1)外科療法

(1)レーザー手術

炭酸ガスやNd:YAG、KTPなどのレーザーの種類があります。早期癌に適応されます。特に片側声帯に限局した癌には良い適応です。深達度が増すと欠損部が大きくなり、術後の音声が悪くなります。治療期間が短い利点があります。麻酔下に硬性鏡を口に入れ、顕微鏡観察下に行う方法が一般的ですが、最近では助手が経鼻的にフレキシブル内視鏡を挿入し、術者が経口的に患部を焼灼する方法も行われています。

(2)部分切除術

甲状軟骨を切断または切除して、内腔の病変を摘出する方法。部分切除は全摘と異なり、術後に経鼻呼吸と声門による発声が可能になることを前提にしています。

ⅰ)声門上水平部分切除術:
  声門より上部の構造を摘出します。声帯は両側とも正常に保たれますので、術後の音声は術前とほとんど変わりません。ただし喉頭蓋という誤嚥を防止する喉頭の文字どおり蓋が失われますので、術後は嚥下に苦労したり、術後の浮腫による呼吸困難のため頚部に一時的な気管孔が必要です。
ⅱ)垂直部分切除術:
  片側の声門やその周囲の構造を切除し、病変を摘出する方法です。肉声は温存されますが、声の質は摘出側の声帯が皮膚で置換される為、声の質は低下します。また声門が狭くなる為、気管孔閉鎖が2-3ヶ月先になります。
ⅲ)喉頭全摘術:
  喉頭を甲状軟骨、輪状軟骨とその周囲の筋肉や、場合によっては甲状腺を含めて一塊として摘出します。気管の切除断端が前頚部に露出し永久気管孔となり、音声言語機能を喪失します。施設によっては一次的に音声再建術を行ったり、二次的に気管食道瘻を形成し、特殊なチューブを挿入することで音声機能の回復を試みています。当院では電気式の人口喉頭をまず導入し、リハビリ科で食道発声の訓練を行っています。

2)放射線療法

早期癌が根治照射の対象となります。高エネルギーのX線を頸の外から照射し癌細胞を破壊する方法です。1日1回の照射を30~35回行います。通常一週間に5日照射しますので、6~7週間かかります。病気がⅡ期癌の場合は入院で多分割照射(1日2回)を行うことがあります。
根治が望めない進行癌の場合でも、手術前や術後に単独あるいは化学療法と併用して行うことがあります。
副作用として照射部位の火傷症状(皮膚炎、咽頭炎)や味覚障害、口渇、食欲不振を生じることが多くあります。

3)化学療法

内服あるいは点滴で抗癌剤を投与する方法です。単独で癌を制御することは期待できません。しかし癌巣を縮小したり、増殖を抑えたり、転移に対して効果を示します。多くの場合、手術前や手術後というように手術の補助的療法として行われたり、放射線療法と併用して行われます。
副作用としては嘔気、食欲不振などの消化器症状や、白血球減少などの骨髄抑制、手足のしびれなどの末梢神経症状、口内炎や脱毛など様々な症状をきたします。

6.進行度別治療法

Ⅰ~Ⅱ期: 放射線治療あるいはレーザー治療の適応です。
しかし、部分切除の適応でもあり、患者様の生活背景や治療医の考えで大きく差の出るところです。
当院ではⅠ期では放射線療法単独を、Ⅱ期では放射線療法+化学療法を選択しております。
Ⅲ~ⅣB期: 原則的に喉頭全摘術とリンパ節転移がある場合は、頚部郭清術を同時に行います。
これに、抗がん剤や放射線治療を術前術後に組み合わせて行いますが、
治療医によってその方法は様々です。
また、最近ではⅢ期であっても喉頭温存の為、部分切除術を行う施設もあります。
当院でも極力喉頭温存を心がけております。
ⅣC期: 化学療法+放射線療法を行います。

7.予後

以下は統計学的数字です。喉頭癌全体の5年生存率はおよそ80%前後です。

Ⅰ期: 95%以上
Ⅱ期: 90%前後と頭頸部の癌の中で最も予後が良い癌です。
Ⅲ期: 70%前後
Ⅳ期: 50%前後とやはり進行癌では予後不良です。