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病院長のご挨拶

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  大垣市民病院のホームページをご覧いただきありがとうございます。

  新型コロナウイルス感染症発生から3年以上が経過し、ようやくその流行、致死的感染症としての脅威も落ち着きつつあります。今まで感染症法での「2類相当」に分類されていたこの感染症は、本年5月8日より季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行します。これにより、医療提供体制を含めた、これまでの各種の措置が見直され、一般の医療もコロナ以前の状態に戻っていくものと思われます。ただ、まだ持続的に増減を繰り返しつつ発生しているコロナ感染患者を前に、今後どのように面会制限や発熱対応、入院・検査前の検査などを緩和・縮小していくのかは慎重に検討する必要があります。また、コロナウイルス感染症流行の3年間に起こった医療の変化は全て元に戻るわけではありません。オンライン診療などは継続されていくと思われますし、マイナンバーカードの普及とも相まって、今後はより一層医療においてもデジタルトランスフォーメーションが進展していくものと思われます。そんな中で、当院も「コロナ後」の医療のあり方を継続的に模索していかなければならないと強く感じています。

  一方、昨今の少子高齢化により、特に地方における疾病の内容、医療の形態はここ数年間で大きく様変わりしています。かつて、市民病院というのは「市民のすべての疾病を引き受ける」「体の面倒はすべて見る」病院でした。大垣市民病院は岐阜県西濃地域全体、また一部は県外も含めた広い医療圏をカバーする総合病院であり、この医療圏の多くの患者さんの疾病すべてに対応してきました。現在、高齢化により基礎疾患をお持ちの方が非常に増え、一方で医療を支える勤労世代の人数がそれにともなって増えることは望めません。その状況において、1つの病院が医療圏すべての患者さんの医療や介護などすべてを引き受けることはもはや困難であり、また現実的ではありません。現代の医療は、1つの医療圏における医療機関が協力し、医療機関全体があたかも1つの病院として各医療機関が急性期医療・回復期医療・長期療養・リハビリ・介護などそれぞれの患者さんの状態に応じて担当していただき、協力して診療にあたるのが目標と考えられます。大垣市民病院は急性期を担当する病院として、地域の他の医療機関様との強い連携を保ちつつ地域全体の健康を守っていく必要があると考えています。

  このように地域の医療機関間の連携は今後ますます重要になる状況において、医療ソーシャルワーカー(MSW)のような各医療機関の連携・調整をとる立場の方々の存在は非常に大切です。MSW職員は「病院-病院」間や「病院-介護施設、訪問看護」間を結ぶ強いパイプを持つことで患者さん一人一人の社会的・経済的状況、その他あらゆるバックグランドを考慮してその人に最適な医療・生活環境を提供する方法を考えます。このようにして一人の患者さんを地域全体の医療機関・施設が協力して見守り、サポートできる体制の構築が望まれます。またITを有効活用することによる地域の医療連携体制の構築・強化も重要な課題です。ITの使用により、効率よく遅滞なく患者さんのサポートができるようにしていきたいと思っています。地域の皆さんにもこの医療連携をよくご理解いただき、ご協力をお願いしたいと思っています。

  昨今の働き方改革とも相まって、スタッフの皆さんの勤務の軽減も喫緊の課題と考えています。そのためにはスタッフ、一緒に働いてくれる仲間を増やすことが非常に大切です。特に医師の充足にとっては大垣市のような地方都市(実は大垣市は名古屋市からも近いのですが)は不利な立場にあると言われますが、病院の魅力を増すことにより粘り強くスタッフの増加に努めたいと思っています。一緒に働いてくれる仲間は大歓迎です。大垣市民病院は自信を持って魅力ある病院といえる施設です。是非一緒に働きましょう。

  開設以来、皆さまの健康を守るのを使命としてきた大垣市民病院ですが、逆に市民病院は地域の皆さまやスタッフに守られ、育てられてもきました。今後も皆さまが大垣市民病院を守り、育てて行っていただけるよう切にお願いしつつ挨拶に代えさせていただきます。


 

2023年4月 大垣市民病院 院長 豊田秀徳